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政治学方法論

1 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 00:16:44 ID:B1Iki2Mw
政治学は,学問対象からみると「政治についての学問」であるといえます。
しかし,方法論からみると「政治学固有の方法(アプローチ)」は確立されているとはいえないように思えます。
哲学的方法(政治哲学・政治理論・政治思想史),歴史学的方法(政治史),法学的方法(政治制度論),
経済学的方法(合理的選択論),社会学的方法(政治社会学),心理学的方法(政治心理学),統計的方法(計量政治学),
さらに比較政治学,動態的アプローチとしての政治過程論など,さまざまな方法論が混在しています。
それは政治学が「マスター・サイエンス」(アリストテレス)であるからなのでしょうか。
また、それぞれの方法論の相互理解・交流が十分でないようにも見えます。

「政治学の固有方法(アプローチ)」の可能性を考えつつ、 それぞれの方法論の相互理解を目指すスレ。
隣接分野の書き込み歓迎。法学における法と経済学をめぐる議論なども参考になりそうです。

2 :参考資料1「政治学」とは?:2005/05/17(火) 00:17:16 ID:B1Iki2Mw
「【政治学】政治についての学問。古代ギリシャに起源をもつ人類最古の科学の一つ。
現在では政治哲学,政治思想史,政治理論,政治過程論,政策科学,行政学など
様々な分野に分かれているものの総称である。政治学が社会科学の中でもつ最大の特質は,
規範理論と経験的分析が分かちがたく結びついていることだろう。…現代政治学は
規範理論と経験的理論を峻別し,後者の組織化に努力してきた。しかし、それがいまだに
経済学のように組織化されていないのは,結局,政治学においては規範理論と無関係に
経験的理論を構築することができないからである。」

阿部斉・内田満・高柳先男 (編)『現代政治学小事典 新版』 P.239 高畠通敏

3 :参考資料2 「政治学の固有方法(アプローチ)」はあるのか?:2005/05/17(火) 00:18:01 ID:B1Iki2Mw
「実際のところ,学問分野という言葉が,それ固有の独自な方法によって規定される
研究領域を指しているとすれば,政治学は一個の学問分野ではないということになろう。
むしろ政治学とはひとつの問題領域なのであって,それは折衷的にであれ寄生的にであれ,
ほかの学問分野に依存しているのである。…あくまで問題から出発するのがつねであり,
ある特定の仕事に必要とされる知的道具は,どんなものでも手元にかき集めるのである。」

B.クリック (著),添谷育志・金田耕一(訳) 『現代政治学入門』 P.19-20

4 :参考資料3 行動論的政治学のインパクト:2005/05/17(火) 00:18:43 ID:B1Iki2Mw
「20世紀初頭までの政治学においてもっとも重要な問いは,どのような制度をつくれば
よい政治を生み出すことができるかというものであった。…その意味で当時の政治学は,
規範的・法学的・制度論的であった。…政治過程論は,それまでの政治に対する静態的で
規範的なアプローチを改め,動態的かつ実証的に政治の実態を分析しようとした。」

「政治学における経験的アプローチを推し進めたのが,1950年代にアメリカで起こった
行動論的政治学である。行動論的政治学は,政治学に先行して科学的な方法論を確立した
と考えられた心理学や社会学などの学問(行動科学)を基礎として,個人行動を研究単位として
権力,政策決定,役割,集団,組織,制度,文化,システムなどの概念をつくりだし,
政治分析を発展させた。…行動科学益分析がとくに有効なのは,政治的態度や投票行動など
個人を対象とするミクロの分析である。」

伊藤光利・田中愛治・真渕勝 (著)『政治過程論』 P.1-7

* なお,P.7以下にKKV(G.キング・R.O.コヘイン・S.ヴァーバ (著),真渕勝 (訳)
『社会科学のリサーチ・デザイン―定性的研究における科学的推論』)をベースにした
方法論の記述あり。

5 :参考資料4 反証可能性:2005/05/17(火) 00:19:15 ID:B1Iki2Mw
「理論が経験的事実によって正しいと認められることはなく,反証が現われない間は,
その理論が棄却されていないこおにすぎない。しかし、政治学では,ここまで厳密に
理論とその検証を意味づけるわけにはいかないからである。たとえば、合理的選択論は
個々の多くの場面で反証されるであろうが、同様に多くの問題を明らかにする力がある
限りは,すなわちそこから何事かを学べるのであれば,ただちに放棄する必要はない。」

伊藤光利・田中愛治・真渕勝 (著)『政治過程論』 P.8 column1

6 :参考資料5-1 合理的選択論とその批判:2005/05/17(火) 00:20:05 ID:B1Iki2Mw
「この小論の中心的な論点は,政治学における1960年代以来の合理的選択論の経験的応用には
一連の方法論的欠陥が見られるということである。これらの欠陥は経験的社会科学に付きものの
ありふれた誤りとは異なり,政治に関する普遍的利t論を構築しようという野心と,普遍性を持たない
理論は真に科学的とはいえないという信念から生まれたものである。我々は、政治に関する普遍理論が
経験テストに耐えうる可能性を疑う。…理論の経験的応用という仕事に携わった体験を持つ
合理的選択論者が、しばしば完璧な普遍主義を放棄して、より控えめで木目の細かい説明を選ぶことは,
合理的選択論者たちの科学的欲求を脅かすものだと考える必要はない、と主張する。それどころか,
合理的選択論の応用が政治に関する我々の理解を助けることを目的とするのであれば、そのような道を
選ぶことが絶対に必要である。」

D.P.グリーン・I.シャピロ (著),福井治弘 (訳) 
『政治学における合理的選択論―理解を妨げる病理』(レヴァイアサン19)

7 :参考資料5-2 合理的選択論とその批判:2005/05/17(火) 00:20:40 ID:B1Iki2Mw
「政治学における合理的選択理論は経済学のそれとは異なり,(1)合理性(理性的行動),
(2)モデルによる部分分析,(3)戦略的行動の三点を共通仮説とする。
批判者はこれらを正確に理解せず,混同している。」

M.D.マッカビンズ・M.F.シース 『合理性と実証主義政治理論の基礎』(レヴァイアサン19)

参考リンク
合理的選択論(メガビ政治学板)
http://www.megabbs.com/cgi-bin/readres.cgi?bo=sisou&vi=992742577

8 :参考資料6 いかにして相互理解するか?:2005/05/17(火) 00:21:53 ID:B1Iki2Mw
「厳密な数量的データをもとにして、これまた厳密なモデルを作り、仮説を検証するという方法に立つと
質的歴史的研究方法ほどいいかげんで、頼りないものはないだろう。数量的方法の信奉者にとって
質的方法は、厳密な論理と証拠に基づくよりは、研究者個人の主観に頼る印象的な研究に過ぎないとされた。
これに対して質的研究者は、たとえ印象的といわれようとも、自分たちは社会を丸ごと全体的につかみ、
しかもこの歴史的変化の本筋を考えているという誇りを持っていた。
だから歴史的方法の立場から見ると、数量的方法は、技術にとらわれて、歴史も社会の全体像も見ない
近視眼的な断片的解決法というように見えたのである。」

高根正昭 『創造の方法学』 P.127

9 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 00:40:53 ID:2V70eSI2
社会学や経営学だってそう。固有の方法論なんかない。
ただ固有の対象があるだけ。それで構わない。
なぜなら、政治学やこれらの学問は、フロネーシスなのだから。
だから、クリックにだいたい同意。

10 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 01:29:30 ID:Sp9DUKq+
>>1
スレ立て乙です。意味ある議論が交わされることを期待してます。

11 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 01:41:03 ID:CbY2nTa4
丸山眞男は、思想史は問題史でしかありえない、と言っていたけど、
政治学全般がそんなもんだよね。
何か問題がある時に、その問題の中の政治の部分に焦点を当てて、
それから考えるのが政治学。

12 :1:2005/05/17(火) 08:58:38 ID:B1Iki2Mw
やっぱりクリックに近いイメージを持ってる人が多いですね(といってもまだ二人だけど)。

私の経験した話を2つほど。まず一つは、運転免許取得中に起きた出来事。
実技教習中に、私の原簿に「政治学科」の文字をみつけた教員が
突然、ものすごい勢いで政治談議をはじめた。「〜〜派が造反して〜〜」とか
「〜〜が〜〜と密約を〜〜」・・・。もうウンザリでした。

もう一つは大学1年の政治学の講義の話。この講義は、毎回の授業が議論の対象で
区切られていました。例えば、第1講「権力」・第2講「政党」・第3講「議会」…などだったと思います。
当時の私には、これがそれぞれの対象についてダラダラと印象を述べるだけに見えたのです。
>>8の高根の言葉でいうと「研究者個人の主観に頼る印象的な研究」です。
自分なりに考えると、それぞれのアプローチからの議論に分解できることに気づいたのは
大学3年以降でした。

13 :1:2005/05/17(火) 09:15:31 ID:B1Iki2Mw
社会科学の諸学の中で、おそらく学問としての政治学は最も認知されていない学問ではないでしょうか。
「政治学って何するの?」と聞かれた経験がある政治学専攻者も多いと思います。

政治学が「政治」という固有の対象により規定される学問分野であるとするならば
ますます「政治学」と「政治談議」の境界線が曖昧になってくるのではないでしょうか。
とすれば、クリックのいう手元にかき集める道具を、正確に利用できるように理解することが
必須であり、また、それぞれのアプローチの専門家の相互理解・交流が不可欠だと思います。

しかし、>>4-5で挙げた行動科学論的政治学に対する誤解はいまだに多いように見えますし
>>6-7で挙げたように合理的選択論の有効性についても争われています。
>>8のようにアプローチ相互の誤解を通りこした敵意まであるわけです。
元スレのhttp://academy3.2ch.net/test/read.cgi/jurisp/1105159463/でも
同じような煽り合いが見られます(アカポス配分の問題もありますが)。

14 :1:2005/05/17(火) 09:26:39 ID:B1Iki2Mw
さて、>>11さんが挙げている丸山真男についても少し。

「丸山政治学」なる言葉をときどき見かけます。
丸山真男自身も、「丸山政治学」なる他称の虚名に迷惑な感じをもっていたようです。
「丸山政治学」を特徴付けるような大系を丸山真男が示しているかというと
そうではないように思えます。

とすると、クリックのような政治学観ではなく、およそ「政治」という営みをひと掴みにできるような
アプローチがあるのではないか、という印象が意外と広く共有されているのではないででしょうか。
自身の専門を「政治思想史」「政治行動論」「比較政治学」など特定する学者も多い一方で
「政治学」専攻と書く学者が少なからずいるのもその現われではないでしょうか
(もっとも、これは興味が広いため特定できないが、アプローチは使い分けているという人も含むでしょうけれど)。

15 :1:2005/05/17(火) 09:39:00 ID:B1Iki2Mw
長くなりましたが、私の問題意識は以上のようなものです。

もし、クリックのような政治学観が広く受け入れられるとするならば
それぞれのアプローチをきちんと理解できるような大学の講義・書籍があっても
よいと思うのですが、そういった試みはなされていませんね。

「およそ政治学にスタンダードテキストなし」と言われますが、これは
政治学固有のアプローチなるものは存在しないから、複数のアプローチが共存すべきであり
ひとつのアプローチでスタンダードテキストは書けないということだと思うわけです。

というわけで、政治学固有のアプローチの可能性を考えつつ
それぞれのアプローチ相互理解・交流を目指すスレを立てたわけです。

いくつか文献を引きましたが、ほかに参考になりそうな文献があれば紹介してください。
私は政治思想史、政治史、国際政治学などの方法論はあまりよくわからないので
そのあたり詳しい人ぜひ。

16 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 11:33:13 ID:wVwKCgKx
所詮は経済学の真似じゃろが。政治学は政治学でやっていけばいい。
経済学者ほどゲーム理論や計量の訓練を受けてるわけじゃないんだから、
下手に物まねするより、政治学独自な方法論で行けばよい。

17 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 19:34:29 ID:5zHW83hD
>>16
あまりにアフォだから一言だけな。

政治学の方法は、ラッチョや計量だけじゃないぞ。

18 :法の下の名無し:2005/05/17(火) 20:55:39 ID:7zbDV2qK
歴史と政治学にまたがる国際政治もやりづらい
学部生なのでコリン・エルマン/ミリアム・エルマン『国際関係研究へのアプローチ』東大出版会を
縦にしたり逆さにしたりして読んでます


19 :法の下の名無し:2005/05/19(木) 15:42:24 ID:csbrdLpA
あの、一つ聞きたいのですが
政治学とは理論の検証以外に思想的な価値判断までするものなのですか?

私も理系ですが
物理学はその理屈が成り立つかどうかに答えてくれますが、それがいいか答えるものではないと思っていますが
例えば原子爆弾とはこういう原理でこうすれば発動させることが出来る。とまでは物理学でわかります。
しかし原爆とは世の中にあったほうがいいかという議論は物理学の範疇でありません。
もちろん科学者個人にはそれぞれのモラルなんかはあるでしょうがそれが学問に要請されたものではないです。

政治学とはこういう仕組みであるだけでなく、こうであればいいということまで言うものなのですか?
それ科学というんですかね?

20 :1:2005/05/19(木) 18:01:01 ID:yXCl998V
>>19
politics(政治学)とpolitical science(政治科学)という言葉の使い分けがよくされます。
前者に含まれるのが、価値判断を含む問題を扱う政治哲学など伝統的な政治学のアプローチで
後者に含まれるのが政治過程論などの現代政治学のアプローチです。

一般に、前者は「〜であるべき」という「当為(sollen)」の問題を含みますが
後者は「〜である」という「存在(sein)」の問題の解明を行っています。
例えば、「SNTV(中選挙区制)では各選挙区の候補者の数はM+1(定数+1)に収斂する」とか。

後者の方法論については、厳格さの程度に違いはありますが
研究の手続きは自然科学と同様だと思います。

21 :1:2005/05/19(木) 18:01:38 ID:yXCl998V
前述の政治学(politics)と政治科学(political science)を区別する基準ですが
>>7の論文によると、科学的な方法とは以下の手続を踏みます。

(1) 科学者は現実世界について何らかの観察を行い、その結果、現実世界がある側面において
  いかなる特徴を持つものであるかを問う。
(2) その科学者はそのような疑問に答える理論をつくる。
(3) その理論から予測を引き出す。
(4) 理論から引き出された予測を検定するための実験又は観察法を設計する。
(5) (検証結果を踏まえて)、当初の問題に立ち返ってそれを考え直す。

22 :1:2005/05/19(木) 18:02:41 ID:yXCl998V
例えば「よき政治とは何か?」という価値判断の問題は後者の研究では扱いません。
もっとも、自然科学の研究と大きく違うあるとすれば、>>2の政治学の定義にあるように
「結局,政治学においては規範理論と無関係に経験的理論を構築することができない」
という側面があることではないでしょうか。

自然科学の研究の場合は、問題意識が規範理論から生じるということは考えにくいはずです。
政治学の場合は、問題意識がある種の規範的判断(例えば、デモクラシーの擁護)から
生じる場合がありうるのだと思います。

23 :法の下の名無し:2005/05/20(金) 08:28:48 ID:A2GKtn6h
>>1
politicsとpolitical scienceを区別してるけど、そんなの教養課程の学生向きの
説明にはなっても、現実には、political scienceと名乗りながら規範を論じてる
人だって大勢いるんだから、単純化しない方がいいぞ。まだ学部生なら仕方ないが。

24 :1:2005/05/20(金) 08:58:51 ID:DBgzibke
>>23
>>21の手続に規範判断が含まれるとは理論上考えられないと思います。
もちろん>>21の手続から導かれたものから、規範判断をすることはありえるでしょうが
それは>>21の手続外の問題です。

線引きの問題なので、>>21で挙げた研究手続による区分以外の基準を用いれば
当然結論は異なります。規範判断をしている人が political science を名乗るとすれば
それは political science について別の基準をもっているのでしょう。

>>23さんの指摘する「political scienceと名乗りながら規範を論じてる人」が
いかなる意味で political science という言葉を使っているのかを指摘してみてくれませんか。

25 :1:2005/05/20(金) 09:08:54 ID:DBgzibke
誤解が生じないよう念のため書いておくと、私が意図しているのは
今現在 political science を自称するすべての人と、それ以外の人をうまく
区分する基準を考えることではなく、あくまでそれぞれの政治学のアプローチの特徴を
考えてみようということだけです。

political scienceについての別の考え方は、スレの趣旨から重要なので
>>23のより突っ込んだ内容を知りたいだけで、>>24は決して喧嘩腰や挙証責任の押し付けの意図は
ないですよ。

26 :法の下の名無し:2005/05/20(金) 22:37:58 ID:xeiCVsSH
もりあがりませんね

27 :法の下の名無し:2005/05/23(月) 09:05:13 ID:sGDDEIak
事実と価値を峻別べきるなんて言ってるのは、
いったいいつの時代の人間かいな。
社会科学の方法論も今じゃちゃんと確立した分野だよ。


28 :法の下の名無し:2005/06/14(火) 08:23:28 ID:a6eDMSV9
さてさて

29 :法の下の名無し:2005/07/08(金) 02:55:21 ID:2d/Xyear ?
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